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学校法人福田学園 大阪工業技術専門学校

産学官連携

大工技能学科 卒業制作「唐招提寺金堂組物模型『斗栱』」プロジェクト in 竹中大工道具館

2021.11.30

~教室を飛び出して~ 

竹中大工道具館「天平の匠に挑む 古代の知恵vs現代の技術」展覧会で卒業制作作品が展示されました

2年間で培った技術と創造性を発揮する学びの集大成・卒業制作。大工技能学科では、例年学生が個人またはチームを組み、ひとつの作品をつくり上げます。
2020年度は、「森村海斗」さん、「齊藤祐希乃」さんの2名が手がけた「斗栱(ときょう)」の模型が、「唐招提寺金堂組物模型 斗栱」として、神戸市の竹中大工道具館へ寄贈されることになりました。

「斗栱(ときょう)」とは伝統工法で、柱の最上部や軸部の上に設置され、軒桁を支える部位の名称です。
社寺などの木造建築で使われる、屋根を支える木組みの一部で、柱の上に付いているものです。卒業制作として、奈良市にある唐招提寺金堂の斗栱を1/3スケールの模型で再現しました。

チームリーダーを務めた森村海斗さんより、その制作過程を振り返ってもらいました。

~この卒業制作作品を作ったきっかけ~

「斗栱」をつくりたいと思ったのは、入学したばかりの頃に、竹中大工道具館へ行ったことがきっかけでした。通常は授業の一環で見学に行くのですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で団体訪問がかなわなかったので、自主的に赴きました。その際に館内に展示されていた、高さ4メートルにもおよぶ原寸の「斗栱」に圧倒されて、すっかり惹きつけられ、自分も作りたいと思い挑戦しました。

~難題も多く、先生方や講師の親方にサポート頂きながら、作品を制作~

唐招提寺が建てられたのは約1,200年前。なかなか一筋縄では制作出来ません。構造や設計に関する資料がほとんどなかったので、まずは実際に現地へ行って、細部の写真を撮影することからはじめました。それから、奈良県立図書情報館に行き、撮ってきた写真と、館が所蔵する資料とを照らし合わせながら図面を描いていきました。
なんとか図面を完成させて、材料の見積もりと発注に取りかかると、さらなる壁にぶつかりました。実は当初、模型を1/2スケールでつくろうとしていたのですが、手配できる柱材のサイズに限界がありました。1/3スケールなら材料が揃いそうだったので、思い切って切り替えるなど工夫が必要でした。

材料の発注後は、ベニヤ板を何枚も使い、1/3スケールの原寸図面も描きました。
加工も難しかったです。一つひとつの部材としてはきれいでも、それぞれ木の向きがバラバラだと、組み上げたときに表情が出ないことや、また古建築に挑むうえでは、昔の道具を使わなければできないこともありました。
社寺を見てダイナミックに美しく感じるのも、部材に統一感があるからだと気付かされ、側面を丸く削ったり、逆にくぼませたりするために、当時はいろんな種類のカンナを使い分けていました。

~竹中大工道具館へ寄贈決定!バージョンアップした「斗栱」へ~

卒業制作が完成後、学内の「卒業制作作品展」に竹中大工道具館の方をお招きし、実際に作品をご覧頂きました。その結果なんと寄贈のご依頼をいただいて、2021年10月~12月に同館で開催される展覧会「天平の匠に挑む 古代の知恵VS現代の技術」(https://www.dougukan.jp/special_exhibition/tenpyo_kobe)でお披露目することが決まりました。しかし、出展させていただくからには、さらなるバージョンアップも必要になりました。
寄贈するにあたり、具体的には、「斗栱」の上部に載る屋根構造の「桔木(はねぎ)」を新たに加えることになりました。「桔木」とは屋根の内部から屋根勾配なりに入れて、軒先を支えるために使う部材のことです。屋根の荷重を支える部材で、軒先に差し込んだ柱材を、反対側(屋根内側)に設けた支点を軸に、テコの原理で持ち上げる役割があります。

~働きながら制作作業~

寄贈が決定後、春から工務店に就職していましたので、上司含め先生と相談し、週に一度学校に来て、制作を進めることになりました。慣れない仕事と並行して、さらに製図に加工と、この後やるべき作業がどんどん頭に浮かんできましたが、引き受けるからには、責任をもってやらなければいけないと思い直しました。

今回は竹中大工道具館から、追加制作する範囲を枠で示した屋根の参考図面をいただくことができました。
ただよく見ると、「桔木」が途中までで省略されており、特徴的な構造が見えなくなっていました。そこで、柱の長さを短くしてでも、全体像をしっかりと見せるアイデアを提案し、館の方もその案に応じてくださって、一緒に調整を図ることができました。
先生や親方からもご支援頂いただけではなく、OCTの後輩、在校生たちにも指導も含め、手伝ってもらいました。そのおかげもあり、さらに磨き上げられた作品が展示されています。

~プロジェクトを終えてひとこと!~

森村海斗さん

4人のチームで卒業制作をつくる同級生もいるなかで、僕たちは2人だったので、かなり必死でした。ほぼ毎日、授業後も残って作業していました。
春から工務店に就職して、大工見習いとして働きはじめたばかりの頃に、先生から寄贈のお知らせをいただいて本当に驚き、卒業制作のテーマを決めるきっかけとなった場所に、寄贈できるとは夢にも思わず、とても嬉しかったです。
後世に建物の魅力や技術を伝え残すことの意味を問いながら、これからも大工の仕事に励んでいきたいです。

齊藤祐希乃さん

竹中大工道具館への寄贈・展示が決まったときは、うれしくて舞い上がりました。とはいえ、今回挑んだのは、屋根構造の追加制作。仕事と両立しながら取り組むのはなかなか大変でした。設営が近づくと、道具や材料を会社のアトリエに持ち帰り、追い込み作業をすることもありましたが、その分展示空間に立ち上がった斗栱の模型を見たときは、とても誇らしい気持ちになりました。

学校情報

学校名:大阪工業技術専門学校

住所:大阪市北区天満1丁目8番24号

TEL: 0120-0910-19

担当者:高倉真央

URL:https://www.oct.ac.jp/