専修学校制度の創設と発展

より正しく理解して、さらにベストな進路を実現しましょう。

専修学校は、昭和51年に新しい学校制度として創設された高等教育機関です。
ここではその始まりや歩み、学校制度としての位置づけ、教育に対する姿勢や社会での役割などについてご紹介。
よい正しく専修学校のことを理解して、さらにベストな進路実現へとつなげてください。

従来の各種学校制度

我が国の学校制度では、学校教育法第一条に規定する学校(一条校)が全体として一つの体系を形作っていますが、このほかに従来から「学校教育に類する教育を行うもの」として各種学校がありました。そもそも現在の各種学校に当たるものは、すでに明治時代から存在し、大正時代には学校数で約2,000校、在学者数で約20万人を数えていました。当初は、一条校になる前身的役割をもって設置された学校が多かったのですが、その後、一条校において十分な対応がされていない分野の教育需要を満たすため、女子の職業教育の分野などにおいて各種学校が設置される例が増加し、社会的役割も大きくなっていきました。
しかしながら、各種学校は、学校教育法では「学校教育に類する教育を行うものは各種学校とする」という定めがあるのみで、各種学校の制度の積極的な意義・目的についての明確な規定がない上、修業年限、教員資格、教育課程、入学資格等に関する定めがなく、各種の振興策、卒業生の処遇等について適切な措置を受けることには困難な面がありました。このため、各種学校の実態に即した制度の改善を行うことが関係者の多年の要望でした。

専修学校制度の創設

政府は、昭和42年以降数次にわたり各種学校を積極的な意義・目的を有する学校制度として確立することを内容とする学校教育法の一部改正案を国会に提出しましたが、審議未了に終わりました。しかし、この間にも優れた特色ある各種学校の社会的意義が広く認識されるとともに、一条校に偏った我が国の学校制度に対する反省が生じるなど制度改正の機運が高まり、各種学校のほかに、一定の規模・水準のものを対象とする専修学校制度を新たに創設することを内容とする学校教育法の一部改正案が、議員提案により提出され、昭和50年の国会で成立しました。この法律は、昭和51年1月に関係政省令及び専修学校設置基準とともに施行され、専修学校制度が発足しました。
これにより、専修学校は、「職業や実際生活に必要な能力や教養の向上を図ること」を目的として、修業年限一年以上、一年間の授業時数が800時間以上、教育を受ける者が常時40人以上の組織的な教育を行う施設として学校制度に位置付けられました。このように、各種学校に比べ、目的を明確にし、基準が厳しくなりましたが、一条校と比較すると、社会や個人の要請に応じて柔軟に発展してきた特色を生かせるような弾力性も残されたものでした。また、入学資格の差異により、中学校卒業程度を入学資格とする高等課程(高等専修学校)、高等学校卒業程度を入学資格とする専門課程(専門学校)及び特に入学資格を定めない一般課程の区分が設けられることによって、高等課程及び専門課程について、中学校及び高等学校との継続性が明らかとなり、我が国における広義の後期中等教育及び高等教育の一環として位置付けられたことが、各種学校制度と異なる専修学校制度の大きな特徴となりました。

専修学校の発展

新たに専修学校が制度化されると、従来の各種学校から専修学校への移行が進み、昭和50年代前半までに2,000校を超える各種学校が専修学校へ転換しました。50年代後半以降設置される専修学校は、新規設置のものが大部分を占めるようになりましたが、産業の高度化・専門分化等により増大した中等教育後の多様な人材育成の需要にこたえて、特に専門課程の在学者が急激に増加しました。平成3年には、学校数で3,370校、在学者数で約83万人に達しており、特に専門課程は、在学者数約66万人、新規高等学校卒業者の進学率が14.9%と、いずれも短期大学を上回る規模になりました。専門分野別の在学者数は、情報関係など工業分野、商業分野の伸びが著しく、これに伴い、男子の占める割合が年々増加し女子とほぼ同じとなりました。
制度創設以来、国は、予算面、税制面及び制度面から、専修学校の特性を生かした振興策を推進し、昭和57年には、私立学校振興助成法の一部改正により、専修学校を設置する準学校法人に対する国及び地方公共団体の助成及び監督に関する規定が整備され、58年度からは、大型教育装置整備費補助が行われました。このほか、教育水準の向上を図るための専修学校教員研修事業費補助や生涯学習の観点からの補助事業も実施に移されました。また、60年度からは、臨時教育審議会の答申に基づき、大学入学の機会の拡大を図るとともに、後期中等教育の多様化、活性化に資するため、文部大臣が指定する修業年限3年以上の専修学校高等課程の卒業者に対して大学入学資格が付与され、平成3年には、大学審議会の答申を踏まえ、大学等が修業年限2年以上の専門学校の学修を大学等の単位として認定できるようにするなど、専修学校を広義の後期中等教育及び高等教育の一環として取り扱う方策が広がりました。
平成7年からは、専門学校で一定の要件を満たした学科を卒業すると、文部科学大臣から専門士や高度専門士の称号が付与され、これによって高等教育機関を修了した証明として、大学編入学や大学院入学資格が与えられるようになりました。

※1…修業年限が4年以上等の要件を満たした専門学校の修了者は大学院へ進学が可能です。

※2…修業年限が2年以上等の要件を満たした専門学校の修了者は大学へ編入学が可能です。

※3…一定の要件を満たす高等専修学校の修了者は、大学・短期大学へ進学が可能です。また、修業年限が3年以上の高等専修学校の修了者は、専門学校へ進学が可能です。

※4…専修学校一般課程は、入学資格に特に制限がありません。

平成26年4月からは、企業等と密接に連携して、最新の実務の知識・技術・技能を身につけられる実践的な職業教育に取り組み、一定の条件を満たした学科を文部科学大臣が「職業実践専門課程」として認定する制度が開始し、専門学校における教育の質保証が向上することになりました。